インタビュー

教育学部長インタビュー ~男女共同参画を語る~

【とき】平成26年7月28日(月)

【場所】荒牧キャンパス・まゆだま広場

【インタビュー】豊泉周治教育学部長

【インタビュアー】末松男女共同参画推進室長
小林室員(教育学部)


末松:本日は,教育学部長豊泉周治先生にまゆだま広場にお越しいただき,男女共同参画推進について色々お話を伺いたいと思います。まず,学生の状況からお尋ねします。教育学部は女子学生が非常に多いと伺っていますが現状についてお聞かせいただけますか。

女子学生・男子学生の割合は5対5

豊泉:理工学府の篠塚先生がデータを示していたので,同様に資料をお持ちしました。こちらが教育学部入学生の男女比の推移です。平成6年から26年までの約20年間の推移を見てみました。以前は女子学生の割合が高かったのですが,その後の傾向を見ますと,ここ十年間男女差がずいぶん小さくなり,今の男女比はほとんど50パーセント前後という形になっています。

末松:傾向としてはどの分野でもばらつきがないということでしょうか。家政はもちろん女性が多いと思うですが。

豊泉:やはり家政は女子学生が多く,技術は男子学生が多いです。教科別に平成11年・16年・21年・26年と5年間ごとにデータを出してもらったのですが,それを見るかぎりでは各教科の男女比はあまり大きく変わっていないですね。社会科の場合は男性が少し多めの傾向ですが,今年入学した学生の男女比は50パーセントずつです。社会科については、女子が増えている傾向があります。年度ごとにそれぞれの教科によって,今年は女性が多かった,男性が多かったということがありますが,全教科を均してみると,女子学生の割合がやや減って,男子学生の割合がやや増えて,全体として半々ということで,好ましい傾向かなと思っています。

末松:自然に半数になるということは,特に女子学生向けに取り組みをしたということではないのでしょうか。

豊泉:特に男女を意識した取り組みは行っていません。

末松:技術と家政以外はだいたい半数ずつで好ましい状況であるということですね。教員養成課程においては,バランスよく両方の学生がいた方が教育上もうまくいくということはあるのでしょうか。

豊泉:そうですね。教育の現場,子どもたちの世界に両性の教員が関わることは,まったく当然のこと,ごく自然のこととして受け止めています。一般的には,自然科学系は男性が多いと言われておりますし,この大学に来る前は,私も理科は男性が圧倒的に多いと思っていたのですが,何年か前には,男性が4割で女性が6割という数字になったこともありました。今年の理科の入学生は,男性が65%で女性が35%です。まあ,入試制度に関わるファクターもありますので,一概には言えないのですけれども,理科好きは男性だということはないようです。それに比べますと,数学の方が男性への偏りが大きいようです。

末松:続いて,女性研究者の状況について伺いたいと思います。まずは現在の状況についてお願いします。

優秀な人材の採用を進めた結果,現在,女性の比率は22%

豊泉:これもデータを用意しました。平成16年と26年の教育学部女性教員の人数・割合・所属講座のグラフをご覧ください。この10年間,女性の教員の人数・割合は,徐々に増える傾向にあると言えます。10年前の平成16年,女性の教員は15人で,割合としては16パーセントでしたが,今年の4月の段階で,女性教員は20人,割合としては22%に増えています。平成16年と26年を比べますと,所属講座も変化しています。以前は女性教員というと家政の教員という感じだったのですけれども,この間,各教科で女性教員の割合が増えています。近頃は学部の中で男性教員,女性教員というのをあまり意識しなくなったのではないかと思います。

末松:特に意図的なわけでなく,自然にやってきたということですね。ポジティブアクションを取らずに増えてきたのでしょうか。

豊泉:特に学部としてはそのような動きはしてこなかったですけれども,公募を徹底し,応募者の中で優れた人を採ると,結果として,女性が増える傾向に繋がりました。

末松:すばらしいですね。男女共同参画推進室は,女性研究者支援事業では16.4パーセント程度を全体の目標にしているのですが,教育学部ははるかに上回っているので,秘訣があれば伺いたいと思ったのですが。

豊泉:そうですね,秘訣というものではないのですが,広く公募をして色々な方が応募されてきますので,女性の応募者も増えてきています。たとえば社会科は10人の教員のうち3人が女性教員ですが,優秀な人に来てもらったら,結果として女性が増えたということです。

末松:英語の女性教員5人というのはかなり多いですね。英語は全体で何人ぐらい教員がいるのでしょうか。

豊泉:英語は8人です。応募者の中で女性の比率が高いこともありますね。

末松:8分の5とはすばらしいですね。個人的に伺った話なのですが,すでに子育てをなさっている先生方から,教育学部では非常に講座内での関係が良くて,手助けしあえる状況にあると伺いました。今回産休を取られる先生の場合,非常勤を採られたようですが,非常勤を採らない場合でも,講座内のチームワークがうまく機能しているのかなという印象です。講座内が少人数であることが,チームワークに結びついていますね。

豊泉:今大学での仕事は増えるばかりですが,各講座では多いところで10人,少ないところでは4人の教員が協力してやっています。講座の中での仕事は顔の見える関係になっていて,仕事を分担していかないと回っていかないのが現状です。男女問わず仕事分担をしていて,それが見えるから必要なときはサポートできるのだと思います。

末松:今回,産休を取られる先生の後に非常勤の先生を採用されたわけですが,以前も産休・育休に入られる先生の替わりに,非常勤を採られたのでしょうか。

豊泉:通常では,半期1コマ,通年で2コマ程度の非常勤を採用していたのですけれども,今回の場合は,まだ不十分なのですが,ずいぶんやりくりもしていただいた上で,半期2コマ,通年で4コマの非常勤を配置しました。それでも無理をしていただいている状況ではあるのですが。

末松:このような事例が増えていくと良いと思います。例えば今回国際教育・研究センターの先生も長期にお休みされますので,そのあいだ初めての試みとして代替の先生を採用するということでした。男女共同参画推進室の立場からするとありがたいことです。

豊泉:教育の場合は非常勤を配置するというだけで,不十分ではありますが…

末松:安心してお休みいただけると良いなと思います。産休に入られる先生方が,かなり男女共同参画推進室に来てくださいました。男女共同参画推進室には,両立支援アドバイザーさんが,火・水・木曜日に配置されているのですが,妊娠出産等についても情報提供をしています。桐生では,男性の先生にも相談に来ていただいていますが,荒牧キャンパスの場合は,子育て中の先生方が少ないというか,高齢化が進んでいる印象です。特に社会情報学部ではそうなのですが。

豊泉:教育学部では,女性教員は若い先生が多く,これからという状況です。以前は教授層も多かったのですが,今は准教授・講師層が増えています。これから男女共同参画推進室にもお世話になります。

末松:タイミングが良かったのかなと思います。少し話題が変わるのですが,群馬県では,小学校中学校では女性の管理職,校長は多いようですが,高校ではお一人もいらっしゃらないようですね。せっかく女性の教諭を輩出しても,管理職になっていく女性が少ないような。

教員養成を通して,優秀な女性たちが管理職として活躍できる現場に

豊泉:私もインタビューということで気になり,調べてみたのですが,小学校の場合ですと,平成26年4月で女性教諭の割合は63.7%です。校長の割合はどうかというと19.4%で,教頭の割合は17.6%で,小学校では3分の2近くが女性教諭なのに管理職は2割もいない。この傾向は以前よりは改善されているのですが,ここ10年ぐらいのスパンで見るとほとんど変化がなく,女性の小中学校の管理職が増えているわけではありません。中学校でも同様で,公立の場合、女性の教諭は39.4%,女性の校長は4.8%(8人),教頭は2.6%(4人)です。小学校では探せばいないわけではないですが、中学校になると一生懸命探さないと管理職の女性を見つけるのは難しい状況です。

末松:そうですか。平成に入ってからの動きですものね。

豊泉:群馬大学で女性教諭をたくさん輩出しています。率直に言うと女子学生のほうが教員採用試験によく合格しています。ぜひ現場に行って力を発揮していただき,管理職になってほしいものです。

末松:これは特殊な状況というわけではないという気はいたします。大学にしても管理職は女性が少ないですし,群馬県全体の教育の状況なのかなと思います。

豊泉:小学校の場合は女性教諭が3分の2ぐらいいるのですから,管理職もぜひ。

末松:そうすると全体の6割ぐらいが女性になれば2割ぐらい管理職になれる感じでしょうか。

豊泉:日本全国だいたい共通してそんな感じですので,群馬県だからというわけではないと思いますが,どこでも大きな組織になると大体そうですよね。うちから卒業してくれる女子学生にはなんとか頑張っていただきたいですね。

末松:せっかく優秀な学生さんですから。では最後に,教育学部がめざす男女共同参画推進についてお聞かせいただければと思います。

男性には男女共同参画推進意識の醸成,女性にはリーダーシップを

豊泉:教育学部というのは教員養成ということで,子どもの育成に関わる学部ですので,単に女性の管理職を増やすということではなく,子どもの育成と教育の場に男性がもっと積極的にかかわっていくというのが大事かと思います。先ほど申し上げましたように,小学校の3分の2の先生方が女性で,家庭では母親とのかかわりが大きい。群馬大学を卒業する男子学生たちには男女共同参画推進意識を醸成させていきたいと思います。一方で女子学生たちにはさきほど管理職の話ですが,現場に出て力を発揮してリーダーシップを取っていただきたいと思います。

末松:教育学部は評議員の先生に女性がいらっしゃったのではないでしょうか。

豊泉:以前,家政の先生に評議員を4年間務めていただきました。

末松:唯一の女性評議員だったのではないでしょうか。

豊泉:最初だったかもしれませんね。

末松:大学運営においても教育学部の女性の先生に積極的に活躍していただけたらありがたいなと思います。

豊泉:そうですね。ぜひ,はっぱをかけたいと思います。

末松:以前推進室の室員をなさっていた関戸先生も入試委員長になるので,大変忙しくなるとおっしゃっていましたが,委員長も女性になっていますね。

豊泉:正直言って男女を意識しているわけではないので,適任者を選んでいるだけですが,そういう方にどんどん出てきてほしいと思います。

末松:小林先生は何かございますか。

小林:今回の男女比のデータ―は,オープンキャンパスの時の「女子高生向けの説明会」で,ぜひ活用させていただきたいと思います。

末松:それでは豊泉先生,本日はどうもありがとうございました。