インタビュー

医学系研究科長インタビュー~男女共同参画を語る~

【とき】平成27年6月17日(水)

【場所】昭和キャンパス・まゆだま広場

【インタビュー】峯岸 敬 医学系研究科長

【インタビュアー】永井 弥生   男女共同参画推進室副室長
長安 めぐみ  男女共同参画推進室講師


長安:(まゆだま広場は)初めておいでいただきましたかね。

峯岸:なかなか場所を知らないですよね。ニュースレターは読んでますよ。

長安: 両立支援アドバイザーさんが週1回昭和キャンパスにも来ているので、女性の医師の方や職員の方も時々相談で利用してくださっていて、利用率も上がってきています。

永井:先生の診療科(産科婦人科)は女性が多いですよね。

峯岸:女性は優秀でしっかりしているけど、やっぱりキャリアの途中で、10年目を越えたくらいから妊娠・出産という風になって来るので、いっぺんにみんな抜けていく状況になっていて今大変です。でも、少し前より、職場復帰しようという意識が強くなっています。

永井:支援があるから仕事に戻れるというレベルは結構クリアしてきているかと思うのですが、そのあとはどうでしょうか。

峯岸:学位は取った方が良いと思うのですよ。将来どういう風な立場になるか分からないので。私の教室では少なくて、遠慮するというか・・そんなに自分は優秀じゃないとか考えずに、キャリアを考えてほしいですね。

永井:峯岸先生は今年度より医学系研究科長ですので、全体を見てどうですか。

峯岸:今僕が考えているのが、学内での共同研究を盛んにすることです。自分の興味がある科や研究部門があれば群馬大学の中の施設を使って、全体として学内でのコラボレーションを進めたいです。比較的機械は揃って来ているのかなと思うのですが、それを上手に使うにはそれなりの知識が必要ですので、整備していきたいです。集約化できれば、比較的共通の研究ができると思いますよ。

長安:ネットワークができてきますね。同じ場でやっていたら。

峯岸:そうですよね。前任の和泉先生がそういった機械をいっぱい揃えてくださっているのですが、誰がその機械を使って指導するとかまでは行っていないように思います。どんなことができるという広報も必要で、大学院レベルでの研究者の教育ができるようなシステムとして、大学院の教育センター等があるので、活用できたらと思っています。

永井:病院でもチーム医療の重要性が言われているのですが、研究もということですね。

峯岸:やろうとしていることはよく似ていて、もう少し促進するためにはどうすればよいかと思っているのですけどね。医学部だけでなく医工連携っていうのが大学全体の意向なので、実際に実験や共同研究が進んでいるところがあれば、それをもっと宣伝したいですね。

永井:若い人に研究の魅力を伝えるとしたら?

峯岸:難しいですね。僕は研究が好きだったから、家庭を顧みず、土日もずっと実験室に詰めるみたいな(笑)。そうやれとは絶対に言わないし、同じようにやった方が良いとは思わないし。

長安:今の若い先生方は家庭も研究も診療もみんなやりたいという人が増えてきているのでしょうか?

峯岸:そういう意味でバランスが取れていると思うのですが、自分の特色を見つけてやるというのも必要ではないかな。ただ、そういう時期があって、集中してやってもらうのもいいのですが、継続するということも大切なので、なかなか難しいですよね。

永井:臨床をやりたいという人は、そういう考えでもよいかと?

峯岸:ただ、みんなによく言うのは大学院の間、基礎研究に集中してやると、仕事を纏めるとか、論理的に物を進めるっていうのがどういうことなのかがわかる時期があるので、それは臨床にも上手に反映できる。そういう考え方をトレーニングするために一定の期間臨床を離れて、基礎的な研究に従事する。長い医者の生活なので、一定の期間そういうことのトレーニングに使っても良いんじゃないかな。

永井:それは男女問わずですよね?

峯岸:そうですね。ただ、女性の場合、特に男性よりも色々プランニングをちゃんとしなくてはならない部分が多いので。でも僕は乱暴な言い方だけど、妊娠して欲しいんですよね、早く。

永井・長安:お立場としては。

峯岸:「大丈夫だよ、妊娠しても何とかなるんじゃない」っていう感覚で・・・。不妊治療にしても、年齢によって相当妊娠率が悪くなるは確かなので。
長安:妊娠しても大丈夫だよ、続けられるよっていうプランというのは考えていないと難しいですね。それとおりにはならないかもしれませんけど、考えてみることは大事ですか。

峯岸:あんまり冷静に考えないというか・・・(笑)。どういう状況でもそれぞれの個性として受け入れることの方が大事かなと。自分たちの多様なプランに沿って一緒に考えましょうということですかね。

長安:私はそんなに優秀ではないからと、女性がちょっと引いてしまう、チャンスが来た時にね。自分で決めていく練習も必要だし、自分の力を知る機会が要るのかと思いますが。

峯岸:難しいですね。僕がびっくりしたのが、学会で若いころに教授に「君の人生を決めるのは君ではないんだよ」って言われたっていう人がいて、今は違う大学の教授になっているんだけど。例えば医長になれって言われても「えっ、僕がですか・・・」ってなるじゃないですか。教授が勝手に後輩の人生を決めるという意味ではなく、「いやいや、お前はできるよ」って、そういう風に言ってくれる人がいて、初めて人生が開けていくこともあるんだよ、そういう思い出ばなしのひとつなんですけど。そういった意味でのオーガナイゼーション、指導力というかな、そういうのを上の人はある程度考えて言っていることが多いですが。

永井:上の人の一言は大きかったりしますよね。先生は一番上に立って、どういうふうに指導していこうかなと考えていますか? 

峯岸:一番大事なのは人柄というか、優秀で尚且つ共同作業ができるということ。チーム医療ができ、なおかつリーダーシップが取れる人を上手く育ててそういう立場になってほしいなと思っています。女性、男性でなくて、その人に適正があると思えば、上司側からもきちんとそれを勧めるのが大事では。それで、例えばそのときに彼女が妊娠したとしても、できるだけみんなでサポートできるような体制と気風があれば良いですよね。

長安:海外を見ると、女性が国を代表してくるような人になるのが当たり前になってきていますよね。

峯岸:以前カナダにもいましたけれど、産婦人科ってすごく女性が多いので。やっぱりその中で教授とか指導者に女性がなるのが多いと思いましたね。元々ベースが多いのだけど、家庭の中でもシェアしてっていうのが当然ですから。

長安:最後に何かありますか。

峯岸:少子化が問題になっているけれど、女性にばかり早く産むようにという対応は失敗している。一番大きいのは社会なんですよね。会社は妊娠している女性にどういう対応を取るかって現実的な問題だし、それが上手くいかない限り少子化は改善しないって常に言っています。

永井・長安:本日はありがとうございました。

峯岸:ありがとうございました。