インタビュー

理事インタビュー ~男女共同参画を語る~

【とき】平成31年1月7日(月)

【場所】荒牧キャンパス・事務局棟理事室

【インタビュー】 窪田 健二   理事(教育・企画担当)

【インタビュアー】本多 悦子  理事(男女共同参画担当)
長安 めぐみ 男女共同参画推進室副室長

群馬大学 性の多様性に関する基本的考え方及びガイドライン策定について

長安:本日の質問事項は4つあります。1つはLGBTのガイドラインの作成ワーキングにご尽力いただいたことについて。次に全国の大学のLGBT対応の動向。そして、先生の個人的な男女共同参画へのお考えについて。最後に全学に向けての男女共同参画のあり方についてお尋ねいたします。

本多: まず、本学で検討が進んでいる性の多様性の取り組みについて、お話しいただけますでしょうか。

窪田: LGBTも男女共同参画もいわゆる『ダイバーシティ』と言いますか、多様性をどれだけ尊重するかだと思います。このように考える源となったのが、自分自身が教養学部出身であることです。在学中に色々な出身や背景の人と一緒だったことが、後々、非常にプラスになりました。多様な考え方やあり方が社会に出たときに一番役に立つのではないかということが基本です。そのような意味でダイバーシティ、男女共同参画も、留学や多文化理解等も全部が人にも社会にもプラスになると思います。歴史を振り返ると、転換点では常に異なる文化の衝突や軋轢の中で、新しいスタイル・社会システムが形成されてきました。つまり、多様な考え方を社会がどれだけ共有できるかというところから変わっていくのではないかと思います。

長安: 大学として「性の多様性」について考えていく際に、最初はLGBTのことからスタートしました。しかし最終的には、全てのSexual Orientation and Gender Identity(性的指向や性自認)について尊重し差別をなくして行きましょうという結論に達しましたが、そのことについて窪田理事のお考えを伺えますか。

窪田:理事に就任した頃、障がい学生の学習支援体制について色々勉強をしていました。多様な人の就学の機会を保障し、それぞれ他の人にはない大きなポテンシャルを引き出せるような社会になればと思います。大学が群馬県のオピニオン・リーダーとして機能して行けば、県全体の変革に繋がって行くと思います。大それた感じですが、『人は人の役に立って初めて人になる』と教えられてきたので。

本多:「人として成っていない」という感じですか。

窪田:個人の枠の中だけで留まっていては社会には何のプラスにもならないと思っています。

長安:昨年6月、窪田理事にワーキンググループの座長をお願いし、皆さんの意見や学部の意向等をくみ取りながら、度重なる議論と推敲をしていただきました。当事者の学生から意見をいただけたことと、国立大学における「LGBTs学生への対応や通称名の使用」を調査していただいたことが良かったです。

窪田:そうですね。当事者の肯定感がないとうまくいかないですから。それと、国立大学学生指導担当副学長協議会で「LGBTs学生への対応や通称名の使用」の調査を本学から提案し、事前に情報が入ったことが良かったですね。

本多:そうですね。ちょうどタイミング良く、調査をしていただけたので。

窪田: 12月には、日本学生支援機構を通じて『大学等における性的指向・性自認の多様なあり方の理解増進に向けて』という啓発を進める指針も出されました。また、高校受験の願書に性別情報を入れないようになってきたと聞きました。このような流れが加速して行くと思います。

本多: 国立大学の調査結果を見ますと、「LGBTs学生への対応」でガイドラインを手がけているところはまだ少ないですね。

窪田:やはり、強い先入観はあるので意識変革はなかなか難しいと思います。まずは第一歩を踏み出す。進めるうちに変更せざるを得ないことが出てくるでしょうから、その度に考えていけば良いと思います。

本多:大学が基本的な考え方を示せば、今まで少数派だった方も声を出しやすい環境になると思います。

窪田: 以前に参加した明治大学のシンポジウムでのことです。ヨーロッパ諸国では同性婚を法律的に認めているので、LGBTに何ら違和感はないのです。日本ではLGBTが13人に1人と言われていますが、そのような状況は実は昔からあったと思います。ただ、なかなか表に出せない状況が続いてきた。でも、現在は社会的な権利意識が強くなってきたので、声を出せるようになってきました。何年か前に渋谷区で同性カップルをパートナーとして認める動きがありましたね。

長安:パートナーシップ条例ですね。

本多:新聞でも報道されていますが、 群馬県では、大泉町が全国の町村初のパートナーシップ制度を取り入れたと大いに話題になっています。

長安:国際的な町なので、理解が得やすかったのかもしれませんね。

窪田理事の男女共同参画

本多:続いて、窪田理事のご家庭での男女共同参画についてはいかがですか。

窪田:30歳で結婚して、33歳で御茶ノ水女子大学の助手になり、38歳の時に群馬大学に着任しました。それから今までずっと単身赴任です。妻もずっと仕事をしていましたが、両方がきちんと職を持つことは非常に良いことかなと。それなりに同格ですよね、稼ぎがあるということは。

長安:家事全般されますか。

窪田:いいえ。帰った時はあまりやっていませんが(笑)、こちらにいる間は大体自分でやっています。ただ、料理はほとんどできません。

本多:1人だとあまり作られないですか。

窪田:栄養補給は帰った時に(笑)。子どもは娘2人と息子が1人います。娘たちは両方とも共働きですが、一番ネックになるのが育児です。でも、サポート体制があれば可能かと。娘たちは比較的に実家の近場に住んでいて、幸い母親はすぐに行ける距離なので何とか育児が出来ているのでしょう。子供たちも幼い頃は実家の近くに保育園や学童保育があったので何とかなった気がします。

本多:窪田理事も週末にご自宅に帰られたときは、お子さんと触れ合ったりされましたか。

窪田:子どもが小さかった頃は、土日は全て私が面倒を見ていました。

長安:共働きは大切だということですね。

窪田:社会的にも大きな損失だと思います。昭和初期の産業的に盛んでない頃でしたら、片方だけが働いていても社会は成り立ったけれども、今では難しいでしょうから。

これからの男女共同参画への期待

本多:最後ですが、群馬大学全体に向けて男女共同参画の今後のあり方についてお願いいたします。

窪田: 事務部門に女性のリーダーを登用したいと思います。課長や副課長クラスにロールモデルとなる女性に積極的に入ってもらいたい。大学の質やレベルは、実は事務局の力が一番大きいのではないかと思います。国政を見ても、大臣が教員のように偉そうにしているけれども、実際に色々なことを動かしていくのは、官僚というか事務職員です。最終的な判断は教員が協働してするとして、事務はその前段階のベース部分をきちんと準備できるかということです。そのような意識を持ってもらいたいです。また、現状では女性スタッフは、かなりの比率で非常勤ですね。事務補佐員などの職種のままだと、将来への希望がなかなか持てない。

長安:モチベーションですよね。

窪田:ですので、しっかりとしたロールモデルを作って行くことが大切です。そうなれば、『あの人のようになりたい』と将来を描きやすくなるでしょう。それを今後色々なところで働きかけが出来れば良いと思います。

長安:能力のある女性の事務職員はたくさんいます。その方たちが活躍できる場を男女共同参画で作っていけたら良いなと思います。

窪田:現状では、経費的に考えるとなかなか難しいのかな・・・。

長安:非常勤から常勤に登用されることもありますし、中途採用でキャリアのある女性たちがチャレンジできるような仕組みが出来ると良いのではないかと思います。過去のアンケートでも群馬大学で働きたいという割合は高かったと思います。

窪田:職場も割と和気藹々としていますので、仕事がしやすい環境ではないでしょうか。

長安: 大学は女性にとって働きやすい職場ではあると思います。是非女性の職員を引き上げていただければ。

窪田: 県内の大学のロールモデルになって行ければ。

本多: そうですね。本当にそこは期待したいです。本日はありがとうございました。